X JAPAN@日産スタジアム
今日はライヴ・レポなので、取材席。記事はSHOXXとアリーナ37°Cの次号に載る予定だから、読んでね。
最後のアンコールの「ENDLESS RAIN」の前に、終演後に行われるYOSHIKIの囲み取材に出席するマスコミ陣は、プレスルームに移動する。ライヴが終わってからの取材だから、相当待たされるんだろうなと覚悟していたら、意外にも30分くらいで笑顔のYOSHIKI登場。ステージでも、白い歯を見せるシーンが何回もあったけど、とても穏やかな表情をしている。「X」コールをしすぎたせいで、声はガラガラだったけど、ジョークも交えつつ、決定したアメリカ・ツアーの話など、今後のX JAPANの活動についていろいろと話してくれた。
囲み取材が終わると、そのまま会場内の中打ち会場に移動。ここにはメンバー全員が来ていて、5人と言葉を交わすことができた。
TOSHIと話をした時、「これ、1枚しかないんだけど、聞いて」といって、「クリスタル・ピアノのキミ」のCDをくれた。「あげちゃっても、いいのかな」なんていいながら渡されたのは、マスタリングを終えた時に作るコピー盤。タイトルも手書きで、多分、何枚も存在しないすごく貴重なものだ。
今だから、もう書いちゃってもいいと思うんだけど、3年くらい前、TOSHIの取材でとても悔しい想いをしたことがあった。この日記にも書いたと思うけど、音楽専科社から出た「hide BIBLE」の取材で超久しぶりにTOSHIの取材をした時、「もっと話したいことがある」というので、一般誌の取材をアレンジした。当時、彼は諸問題でワイドショーを賑わせていたけど、わたしが聞きたかったことはただ1つ。彼はX JAPANをやめた後、バンドに対して否定的な発言をしていたけれど、それはどういう気持ちで発した言葉なのか。 今はそのことについて、どう思っているのか。ゴシップには興味がなかったけど、それだけは聞いてみたかった。
果たして、取材のとき、TOSHIはわたしの質問に真摯に答えてくれた。X JAPANを否定する発言をしたのは自分が弱かったからと素直に認め、「俺はX JAPANのオリジナル・メンバーであることに、誇りを持っている。ずっとYOSHIKIと苦労を共にしてきたし、幼稚園からの幼馴染なんだから、(その絆は)切っても切れないよ」と、笑顔で話してくれたのだ。隣で聞いていた事情通ではない一般誌の編集者も「感動しました」というくらいいい取材で、わたしもTOSHIがそういってくれたことがとても嬉しくて、原稿を書くのがとても楽しかった。
ところが。チェックから戻ってきた原稿を見たら、そこの部分がごっそりと削られている。そのかわり、当時TOSHIが敬愛していた人への賛辞の言葉が、びっしりと並んでいた。
編集部でもそのことは問題になり、「こんなパンフレットみたいな文章は、雑誌には載せられない」とTOSHIサイドと連絡をとろうとしたのだが、連絡はとれず。車内吊りや新聞広告にはもう告知を出してしまっているので、掲載を延期することもできない。原稿チェックから戻ってくるのが、最終締め切りギリギリのタイミングだったのでもうどうすることもできず、結局、その差し替えられた原稿が雑誌に掲載されてしまった。わたしにできることは、「これはわたしの書いた原稿ではないから」といって、クレジットをはずしてもらうことだけだった。
この一件はかなりショックで、しばらくの間は「ライターって、何だろう?」「原稿チェックって、何だろう?」と悩んでしまった。
そんなことがあったので、TOSHIが「クリスタルピアノのキミ」の音源を「聞いて」とくれたのは、その時のことに対する彼なりのメッセージのような気がした。歌詞もTOSHIとYOSHIKIの絆をストレートに表現したもので、TOSHIの伸びやかで力強い歌と繊細で暖かいYOSHIKIのピアノのコラボが素晴らしい曲。何も知らない人が聞いても珠玉のバラードだと思うだろうけど、2人のドラマを知ってる人は思わす涙ぐんでしまいそうな作品だ。まぁ、わたしの単なる思いこみかもしれないけれど(笑)、TOSHIがこのCDをくれたことはとっても嬉しかった。
その後、都内のオシャレなバーで行われた打ち上げへ。さすが、X JAPANという感じのとってもゴージャスなパーティだった。「ここはどこ?」と思うくらい国際色豊かだったし、ドリンクのオーダーに来たウエイターさんにシャンパンを頼んだら、「ドンぺリでいいですか?」といわれて、ビックリ。ドンぺリ〜! 悪いわけないじゃん(笑)。
華やかな宴の中で、なんとなく居心地が悪そうだったのは、PATAちゃん。「ここ、なんとなく落ち着かないから、焼鳥屋にでも行かない?」というので、PATAチームと店先に赤ちょうちんがぶら下がっている絵に描いたような焼鳥屋へ。日産スタジアムで7万人の観衆を熱狂させた人が、その数時間後には狭い焼き鳥屋で焼酎を飲んでるのが、おかしい。いかにもPATAちゃんっぽいといえば、その通りなんだけど(笑)。昔、東京ドームを終えた後、阿佐ヶ谷の居酒屋で打ち上げをして、「このギャップがいいんだよ」と笑ってたhideちゃんを思い出した。
hideちゃんといえば……。ライヴの翌日、衝撃的な記事がスポーツ新聞に載ってたことは、知ってる人も多いよね。ここに書いちゃっていいのかわからないけれど、打ち上げで話したメンバーはみんな、そのことに心を痛めていた。だって、誰一人として、そんなことを望んでいる人はいないんだから。もちろん、天国のhideちゃん自身も。いろんなボタンの掛け違いからすれ違いが生じちゃってるのかもしれないけど、きっといい形で解決すると信じてる。今までだって、数々の困難を乗り越えてきたバンドなんだから!