ロックンロール日記
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不器用な人間と、誤解されやすい人間

  最近、とても不思議に思うことがある。それは、「不器用」という言葉の使い方についてである。本来ならば「不器用」という言葉は、器用じゃない、つまりネガティヴな意味合いで使用されるべき言葉のはずである。でも、最近、「わたしは不器用な人間だから」と、胸を張って堂々という人がとても多い。器用な人間 =八方美人で適当でいい加減な人という使われ方が浸透しているせいか、「不器用」という言葉は「実直で真面目で一本気な頑固者」という風に解釈されているらしい。だから、何か人間関係で問題が起こると、自分のいい加減さや不手際さを棚上げにして、「不器用だから」という言葉を使って自分を正当化しようとするのだ。違うよ! 「不器用」という言葉は、決してそんな風に胸を張って白昼堂々と使える類の言葉ではない。自分で自分のことを「不器用」だと宣言するなんて、普通だったら恥ずかしくてできないよ。開き直っているとしか、思えない。もしも、「不器用」だと自覚しているのなら、「自分はなぜものごとに対して不器用にしか対応できないのか」ということを反省して、改良するように努力するべきだ。それなのに、堂々と「わたしは不器用だから(仕方ないでしょ)」といって、自分が巻き起こした数々の不手際にフタをしようとする姿勢が許せない。

 これと同じようなニュアンスの言葉に、「わたしは誤解されやすい人間だから」というのがある。よく考えてみると、これほど傲慢で自分本意な言葉もめずらしい。だって、「自分は誤解されやすい人間」という言葉の裏には、自分はみんなに思われているような悪い人間ではないという最大級のエクスキューズが隠されているのだ。しかも、「本当はいい人間なのに、それを誤解するあなたが悪い」という意味まで含んでいるから、タチが悪い。違うだろーが! 「誤解されやすい人間」だと自分で自覚するだけの知恵があるのなら、どうして誤解されてしまうのかを検証し、誤解されないように態度を改めるのが、人間としての基本的姿勢ではないだろうか。それを堂々と「誤解されやすいから」と言い放って、自分を正当化しようとするなんて、本当はとっても恥ずかしい行為のはずだ。
 みなさんの周りにも、まるで自分が被害者のような顔をして、こういうセリフを平気で口走る馬鹿者がいるんじゃない? 冷静に考えると、空恐ろしいことだ。 こういう人間とは、なるべく関わり合いにならないようにすることをオススメしたい。
大島暁美のロックンロール日記