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今までに発売された大島暁美個人名義の書籍を紹介します。
「女の子の女の子による 男の子の泣かせ方」(86年/KKロングセラーズ)
初めての自分名義の著書。一応、「やさしい女の子実行委員会」という謎の肩書きがついてますが、全部一人で取材して一人で書き上げました。内容はタイトルそのもの、あの手この手を使って男の子を泣かせてしまおうというものです。今、読み返すとあまりのくだらなさに笑っちゃいますけど、結構、面白いです。当時、本屋の平積みなんかにもなったりして、そこそこ売れたような記憶があります。表紙のイラストは、よくお仕事でご一緒していた当時売り出し中の内田春菊さんが、わたしをイメージして描いてくれたものです。その頃はよくマドンナみたいな格好して歩いてたけど、わたしってばイケイケねーちゃんだったのね……(苦笑)。
「アイドル殺人事件」(89年/講談社ティーンズハート)
講談社の漫画雑誌MIMIで漫画の原作などを書き始めた頃、当時ブームだった少女小説ティーンズハートの編集者を紹介され、初めて書いた処女小説。編集者から「ミステリーか推理ものを」とリクエストされ、必死になって書きました。主人公は、なんと新人のアイドル歌手! ストーリーは、主人公と仲のいい同期デビューのアイドルが殺され、ライバルだった主人公が疑われる羽目に。自分の疑いを晴らし、親友を殺した犯人を捜すために、主人公がハンサムな刑事さんと一緒に事件を解決するというお話です。もともと推理小説が大好きというわけではなかったので、編集者に何回もチェックされて書き直しをして、ようやく完成にこぎつけました。
「グルーピー殺人事件」(90年/講談社ティーンズハート)
主人公が、偶然、殺人事件に遭遇し、そこに居合わせたロック・スターと一緒に事件を解決するというストーリー。殺された女の子がロック・バンドを追いかけるグルーピーだったことから、このタイトルがつきました。でも、主人公のパートナーである男の子の名前が、ローズン・ガンズのヴォーカリスト、アクセル・ガンズというのは……(笑)。彼は子供の頃日本に住んでいたことがあって、日本語がしゃべれるという設定が無理矢理です。バンドのギタリストの名前はスラッシュだし、やりたい放題でちょっと恥ずかしいですね……。
「ヘヴィメタル殺人事件」(91年/講談社ティーンズハート)
これもまたムチャクチャな話です。主人公は高校生の女の子で、ボーイフレンドは金髪でバンドをやってる超カッコいいヨシキくんという設定。彼が殺人事件に巻き込まれて犯人の疑いをかけられたことから、主人公が彼のために真犯人を探し出すというストーリーです。しかも、殺されてしまうヨシキくんのバンド仲間の名前が、トシくん(笑)。実は、この小説を書く前、YOSHIKIに「次の小説の主人公の名前、ヨシキにしていい?」と尋ねたら、「カッコいい役だったら、いいよ!」と二つ返事でOKしてもらえました。今だったら、とてもじゃないけど、考えられないことですね。いい時代だったのかも。小説が出てから、「なんでヨシキはいい役で、俺は殺されちゃうんだよ〜」とTOSHIに笑いながら文句をいわれたのも、いい思い出です。
「レディースルームにご用心」(91年/講談社ティーンズハート)
小説の中にミュージシャンの名前を散りばめて面白がっていたわたしですが、とうとう実在のバンドとミュージシャンのキャラクターをそのまま使って小説を書いてしまいました。主人公は厳しい女子校に通う高校生で、自由奔放なバンドマン百太郎に一目惚れされ、それがきっかけで自分の生き方を見つけていくというストーリー。GEORGE、NAO、JUNと、レディースルームのメンバーもちゃんと登場します。前3作は(ちょっと無理矢理な)推理ものでしたが、わたしはもともと普通の小説を書きたかったので、結構、楽しんで書けました。
「泣きたいくらいに抱きしめて」(91年/ティーンズハート)
歌えなくなったロック・シンガーの自暴自棄による事故を目撃した楽屋係の女の子が主人公のラブ・ストーリー。少女小説らしくロック・スターと平凡な女の子の恋物語で、ハッピーエンドなのですが、さりげなく芸能界の裏話なども織り交ぜてあったりします。いろいろ制約の多かった少女小説でしたが、この作品は自分の書きたいことがかなり自由に書けたと思います。作中にミュージシャン名前のお遊びもいっさい出てこないし、モデルとなった人もまったくいない、ある意味でとても純粋な創作物に仕上がったと思います。今でも好きな作品です。
「恋探偵、危機一髪! レディースルームにご用心2」(92年/講談社ティーンズハート)
「レディースルームにご用心」の続編。編集者の強い希望で、誘拐事件仕立てになっています。この話にはレディースルームのメンバーの他、キーマンとして「八百屋の御用聞きヒデ」と「楽器屋の店員パタ」が登場します。実は、hideちゃんが「なんでヨシキとトシだけ小説になって、俺は出てこないんだ、俺を出せ〜!」といい、勝手に「八百屋の御用聞き」という怪しい設定まで決めてしまったのです。最初からそんな変な設定を決められて、どうやってストーリーの中に組み込むか、相当、苦労しましまた。PATAちゃんには出演料として、缶ビールを3本おごりました。
6作書いた少女小説ですが、結局、この作品が最後となりました。もっと自由に書きたいと思うわたしと、ブームになり始めたヤオイもの(男性同士の恋愛)を書いてほしいという編集者の意見があわなくなってしまったからです。わたしはロック・ミュージシャンの世界をテーマに小説を書くことが多かったので、編集の立場としては「そこに、是非、美しい男性同士の恋愛を」と思ったようですが、やっぱりその意見には賛同できず、結局、断念してしまいました。
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