ロックンロール日記
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金縛り初体験

 生まれて初めて、金縛りというものに遭った。実は、昨年、祖母が永眠したのを期に、静岡にあるご先祖様のお墓を東京に移すことにした。そのため、昨年から何度も静岡に行ってるのだが、ようやく工事が終わったので遺骨を受け取りに行ったときのこと。古い旅館に泊まり、夕食にお酒をいただいて、いい気分で寝ていたら、右の耳元でざわざわと人の声がする。驚いて目を開けたら、目の前を黒い大きな影がサッと横切ったのだ。とっさに声を出そうとしたら、声が出ない。驚いて身体を動かそうとしても、まったく動かない。あのときの恐さと焦りは、なんと表現したらよいのだろう。ホントに、金縛りという表現がぴったり。まるで身体がコンクリートで固められてしまったみたいに、びくとも動かない。別にあわてて起きる必要もないのに、とにかく起きなくちゃと思って、必死にもがいていた。隣に母が寝ていたので、母を呼んだのだが、何回呼んでも起きてくれない。百回目くらいに、ようやく母が目を覚まして、「暁美、どうしたの?」と声をかけた瞬間、すっと身体が動くようになった。母がいうには、わたしはずっとヒューヒューいっていて、寝息かと思っていたのだそう。わたしは母を呼んでいるつもりでも、その言葉は声になってなかったのだ。

 それからは、恐くてほとんど眠れなかった。翌日は遺骨を東京のお寺に持って行く予定になっていたので、お寺のお坊さんに金縛りのことを話した。「たぶん、疲れていたからだと思いますけどね」といいながらも、「気になるんだったら」とお払いの祈祷をあげて、お守りをくれた。そのあと、住職の奥様と話をしたのだが、「万が一、それが本当に霊だとしても、ご先祖様が挨拶に来ただけだと思う。これからお墓を守ってくれる子孫に『よろしく』っていいに来たのに、恐がられちゃって残念だと思っているかもよ」と、いわれた。この方はいつも明るくて肝っ玉が大きくて、わたしは大好きなのだが、「なるほど。そういう考え方もあるんだ」と感心した。テレビに出てくる霊能力者だと「あなた、連れてきちゃいましたね〜」なんて恐がらせるところだろうけど、悪いほうに考えないようにと元気づけてくれるのが、心強かった。逆に、「ご先祖様。これからもよろしくお願いします」って思って、家に帰ってから位牌をきちんと拝んだよ。
 金縛りというのは心霊現象ではなくて、身体が疲れているときに起こる生理現象だという話をよく聞く。でも、このときはシチュエーションが上記のようなことだったから、マジにビビッた。わたしはオカルト話がそんなに好きではないし、霊能力もあるとは思わないけれど、実際に何回か霊には遭遇しているので、霊の存在を否定はしない。だけど、何でもかんでも心霊現象にして、しかもやたら恐怖心をあおる人の話には、あまり共感できない。今回、知ったかぶって恐がらせる人ではなく、いろいろ知った上で力づけてくれる人にすぐ会えて、本当によかったと思う。おかげでその日のうちにすっかり恐怖はなくなって、「ご先祖様をちゃんと供養しなくちゃ」という気持ちがいっぱいになった。金縛りといっても上に乗られるような苦しさではなく、ただ単に身体が動かないだけだったので、もし、あれが霊だったとしてもきっと悪気はなかったんじゃないかと思う。もし、本当にご先祖様が挨拶に来てくれたんだとしたら、焦って恐がってしまって、ごめんなさい。
 それから、もう一つ面白い話を聞いた。人間に悪いことをしようと思っている霊は、負のパワーを強力に発揮しているので、敏感な動物はすぐに反応するのだそう。誰にでも守護霊背後霊はいるけれど、そういう良い霊は良いパワーを発揮しているので、動物たちも快く受け入れているのだそうだ。「猫ちゃんがいつも通り寄ってくれば、大丈夫」といわれて、勇気百倍。つまり、ウランの反応がバロメーターになるってことなのだ。
ウランは、湯たんぽ、ゴキブリ退治だけじゃなくて、オバケ探知機にもなるのね! エライ!!
大島暁美のロックンロール日記