さて、ようやく店に落ち着いて、食事が始まった。前菜の生ハムに始まって、スパゲティをペロッとたいらげた上、ピザまで食べるという旺盛な食欲を見せていたのは、やっぱりHEATH。対称的に、PATAはここがイタリアン・レストランということにもまったく動じず、いつもと同じように黙々と飲んでいた。

 食事が終わった頃、GEORGEさんがエクスタシー・ファンクラブの会報のための対談を、ここでやろうといい始めた。対談相手のSUGIZOが、翌日からツアーに出てしまうため、GEORGEさんともう一度会う時間がとれないということが判明したからだ。すぐに事務所に電話をし、エクスタシー・レコードのスタッフ谷口氏が店にやってきた。「さあ、始めましょう」といい、おもむろにノートと鉛筆を取り出した谷口氏。実は、事務所を出る時、取材に使おうと思っていたDATが壊れているのがわかったため、急遽、対談をメモすることにしたのだそうた。でも、

GEORGE「やっぱり、テレコがあったほうかいいんじゃない?」

というGEORGEさんのひとことで、みんなでテレコ探しが始まった、しかし、時は日曜日の深夜。お店はもうやっていないし、借りようと思った知り合いの事務所や編集部はどこもお休みだ。結局、SUGIZOの自宅までテレコを取りに行き、その近くで対談をやるという苦肉の策が浮かんだ。そして、またまた移動のためにみんながゾロゾロと店から出てくると、どこかで見たことのある車が店の前に停まっている。助手席から降りてきたのは、なんとHIDEのスタッフだ! なんと、HIDEは仕事が終わってから、急いで駆けつけてきたのである。しかし、不思議だったのは、HIDEがどうしてこのレストランにわたしたちかいるということを、突き止められたのかということ。

「GEORGEさんを囲んで、みんなで食事をする」

ということはHIDEも知ってたと思うけど、

「今日は行けない」

と聞いていたので、誰も彼に待ち合わせ場所をいってなかったのだ。しかも、わたしたちはそれから店を移動しているし、食事をしたレストランも別に行きつけの店というわけではないし……。う〜ん、不思議すぎる! あとで聞いたら、スタッフ総動員でわたしたちが行きそうな場所&行く先を知っていそうな人に、片っ端から電話をかけて居場所を探したのだそうだ。それにしても、広い東京の星の数ほどある店の中から、この店を突き止めてしまうなんて、これはもうHIDEの執念としかいいようがない。先月号で彼の酒に対する意気込みのすごさをお伝えしたけど、今月も彼の情熱に、ただただ脱帽してしまうわたしたちであった(笑)。

 結局、HIDEがテレコを持っていたので、対談は近くのバーで行なわれることになった。しかも、出席者は先に帰ってしまったPATA以外のメンバー……つまり、HEATH、SUGIZO、KIYOSHI+HIDEとGEORGEさんという超豪華な顔触れ。それで、私はこの座談会が始まった時、隣のテーブルにいたんだけど、HIDEの

「どうせ本職がいるんだから、頼めばいいじゃん」
というひとことで、司会進行役をやることになってしまった。でも、このメンツでの座談会は、なかなかすごいものがあったよぉ。原稿をまとめる谷口さんは大変だと思うけど、とっても楽しい内容だった。読みたい人は、6月下旬頃に発行されるエクスタシー・ファンクラブの会報に載るはずだから、チェックしてみてね。

 さて、座談会の間から、かなりのハイ・ぺースでビールを飲んでいたHIDE。実は、翌日も早くから予定がつまっているのに、

「1時間だけ行かせて」

とマネージャーに頼み込んで、時間制限付きでやってきたかららしい。座談会が終わってしばらくすると、マネージャーの

「HIDE、約束の1時間はもう過ぎたよ」

という厳しいお声、HIDEちゃんは未練たっぷりの表情をしながらも席を立ち、この日の飲み会はいつになく早い時間にお開きになったのであった。

イラスト・ひーchan