「LAでジェットコースター三昧」の巻　前編

　Xのフィルム・ギグのシューティングが、５月26日にLA郊外のロング・ビーチ・アリーナで行われた。その取材のため、日本の多くのマスコミがLAに集結。普段よくコンサート会場で見かける面々が一堂に会した感じで、「ここは渋公か？　武道館か!?」と、一瞬、面食らってしまったほどだった（笑）。しかし、ほとんどの関係者は２泊４日という超強行スケジュール。シューティングの前日にLA入りし、シューティングの翌朝早くには東京行きの飛行機に乗るという信じられないような日程をこなしていた。でも、わたしはひとり抜け駆けをして、LA滞在を３日間延ばしちゃったのさ。というのも、以前NY２泊４日（しかも、ワシントン経由！）という出張をして、帰国してからすっかり体調を崩してしまったという苦～い思い出があったからなのだ。２泊４日で帰国するウツミンや哲ちゃんに「ずる～い」と白い目で見られながらも、「よし、LAで３日間、バカンスするぞぉ！」とルンルンしていたわたし。といっても、結局、写真チェックやらなにやらで、楽しみにしていたショッピングはほとんど出来なかったんだけどね……。

　シューティング前後はXのメンバーも超忙しく、会って話をする暇も全然なかったんだけど、その２日後に

「今日の夜には写真チェックや色々な雑用もすべて終わるから、飲みに行こうよ」

というお誘いがある。そこで、夜の８時頃、彼らがいるスタジオへと向かった。入り口を入ってすぐの廊下で、これから「ART OF LIFE」の歌録り作業を始めるTOSHIとバッタリ。

TOSHI「おとといはフィルム・ギグ用のビデオ・シューティングだったのに、本気になりすぎて疲れちゃったよぉ」

という彼の声は、心なしかちょっとかすれている。

TOSHI「ど～せ、これからみんなと飲みに行くんだろ。いいなぁ、俺は仕事だぜ！」

といって、TOSHIはスタジオの中へと姿を消した。応接室に行くと、HIDE、PATA、HEATHの三人が、それぞれにくつろいでいる。HIDEは、

「あまりにも多くの写真を見すぎて、目が痛い」

と、ぼやいている。日本から来た取材陣が撮ったフィルムの数は、なんと千本を超える数だったらしい。それらをたった二日間でチェックしたのだから、目が痛くなるのも仕方ないかもね～。

　それから、「ART OF LIFE」のレコーディング作業があるYOSHIKIとTOSHI以外の３人と、スタジオ近くの日本料理屋さんに行く。そういえば、去年の８月に取材でLAに来たときも、彼らと食事に行くのはいつも日本料理屋だった。みんな、結構日本人してるのね……と思っていたら、どうやら彼らの目的は日本酒と和風の酒の肴にあるらしい。世界中どこにいても、彼らのスタイルはまったく変わらないってことかな（笑）。そして、夕食兼お酒を飲みながら、雑談に花を咲かせていたとき、PATAと

「明日、どこかに遊びに行こうか」

という話になった。彼は他のメンバーのアパートとはちょっと離れた場所に住んでいて、ここのところあまり外に出ていないのだという。どうやらわたしがレンタカーを借りているのを知っていて、アッシー君にしようという魂胆だったらしいのだが、これが彼の苦難の一日のきっかけになろうとは、さすがのPATAもまだこの時は気がついていなかったようだ……（笑）。

イラスト・ひーchan　