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ほどなくして、LA郊外のPATAの家に到着。彼はソロのエンジニアをしてくれるスタン片山さんの家に居候しているのだが、そこはプールを囲んで小さな家が並んでいるというとても可愛いアパートメントだった。正面に回るとドアは開けっ放しで、網戸が閉めてあるだけ。とてもここが犯罪都市として有名なLAだとは思えないほど、のどかな雰囲気だ。HIDEとHEATHがその玄関の前に並んで立って、 「パ〜タ〜ちゃん、遊ぼ〜!」 と、まるで小学生が近所の友達を誘いに来たみたいに、家の中に声をかけている。 |
HEATH「二階で寝てるんじゃないかなぁ」 |
HEATH「HIDEさん、そりゃまずいよ。他人の家だし、それに、一応ここはLAだよ」 |
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二人がわーわー叫んでいると、ようやくPATAが眠そうな目をこすりながら、二階からおりてきた。 PATA「外が騒がしいと思ったら、やっぱりお前らか」と言って、 PATA「このままここでお引きとりくださいって言ったら、怒る?」と言う。 やはり、彼はわたしたちが何のために突然来訪したのか、わかっているらしい。 |
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といって、さっさと自分でドアを開いて、ズカズカと部屋の中に入ってしまうHIDE。PATAはそれを見て身の危険を感じたのか、ソファにごろりと横になってしまう。その両脇に座って、一生懸命PATAを誘っているHIDEとHEATH。あ……ここで、また自分のことを書かないとみんなのヒンシュクを買ってしまうので、正直に書くけれど、二人と一緒になって熱心にPATAを口説いていたのは、実はわたしであった(笑)。 |
PATA「やだよ、こんな真っ昼間っからどこに行くんだよ」 |
PATA「ジェット・コースターだったら、行かないよ。俺、本当に嫌いなんだから」 |
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PATA「とにかく、駄目! 昨日おそくまでF1のビデオを見てたから、俺はまだねむいんだ。頼むから、夜まで寝かせてくれ」 いつになく、このときのPATAちゃんは強硬な態度だった。HIDEとHEATHがソファからはがそうと引っ張っても、逆にソファにかじりついてしまうほどなのだ。そこで、私は切り札を出しちゃったんだよね〜。それは、 |
の一言。私は日本の遊園地と同じ感覚で、マジック・マウンテンにもきっとビールを売っているに違いないと思ったのだ。 |
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PATA「ふむ、それはちょっといいアイデアだな」 と、PATAの態度が軟化した。そして、ようやくソファの上に起きあがり、 PATA「とりあえず俺は起きたばかりだから、お茶を一杯飲ませてくれ」 と言う。ようやくPATAがその気になってくれたので、HIDEもHEATHもとっても嬉しそうだ。そして、お茶を飲み終わったPATAも一緒に、一行は再びフリーウェイを遊園地に向かってひた走ったのである。 (後日談……しかしっ。なんとマジック・マウンテンには、ビールは売っていなかった。遊園地の中では、アルコールは販売禁止なのだそうだ。そのおかげで、私はこの日一日中、PATAから『大嘘つき』『諸悪の根源』と、ののしられ続けてしまったのであった……ショボン) さて、何となく憂鬱そうなPATAをのぞいて、車の中は大ハシャギである。ガイドブックを見ながら、 HEATH「このジェット・コースター面白そうだな」 などと研究に余念のないHEATH。前に一度だけ行ったことのあるHIDEは、 |
と、みんなに説明している。 |
そんなこんなのうちに、車はめざすマジック・マウンテンに到着した。駐車場に隣接するようにそそり立つ巨大なジェット・コースターを見て、 「でかい……」と絶句する面々。 時刻は午後3時を回った頃で、太陽カンカン、かなり気温は高かったのだが、HEATHは HEATH「今日は夜中までやってるそうだから、ジャケットを持っていこう」 と、最初からやる気満々である。対するPATAちゃんは、広大な駐車場をちょっと歩いただけで、 PATA「寝不足だから、太陽の光が体に痛い」と、早くも弱音を吐いている。さて、これからいったい何が起こるのやら……その続きは次号でね! |
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