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「まず最初に、いちばん手強いヤツを片づけちまおうぜ」 というHIDEの一言で、わたしたちは遠くに見える巨大なジェット・コースターへと向かった。平日だというのに、かなり長い行列ができている。そこに並んでいると、コースターの風を切る音と乗ってる人たちの悲鳴がもろに聞こえてきて、臨場感抜群。イヤでも気分が盛り上がってくる。 「結構、こわそうだなぁ……」 と最初の勢いはどこへやら、なんとなく顔がひきつっているHIDE。 「こんなの乗ったら、俺、死んじゃうかもしれない」 と、ブツブツいっているPATA。 「面白そうー」 と目を輝かせているHEATH。 三人とも反応がまったく違うところが、興味深い(笑)。そうこうしているうちに、ようやくわたしたちの順番がやってきた。わたしの隣の席にPATA、後ろの席にはHIDEが座っている。しかし、ハッと気がつくと、HEATHの姿が見えない。 「あれ、HEATHは!?」 と、あたりを見回してみると、彼はウヒョヒョンとともに、なんといちばん前の席を確保していたのだった(笑)。席について安全ベルトをしめた途端、ゴトンという音とともにコースターがいきなり動き始めた。そして、心の準備もできないうち、あっという間に急降下!あ〜れ〜!!普通、日本のコースターの場合、ガタガタと坂を上っていく間に、「恐いぞ、恐いぞ」という前フリみたいな猶予時間があるものなのに、ここのジェット・コースターにはそんなワビサビはまったくない。有無をいわせずに、急降下!である。まわりの悲鳴にまじって、後ろから 「やめろ〜! とめろ〜! おろせ〜!」 というヘンテコな叫び声が聞こえてくる。その声の主は、なんとHIDEちゃんであった。「きゃあ〜!」とか「わーっ!!」っていう悲鳴ならいざ知らず、ちゃんと単語になっている悲鳴を、わたしゃ初めて聞いたぞ。そして、さらにコースターの角度が急になると 「死ぬ〜!」「殺せ〜!!」 と、大絶叫。はっきりいって、まわりが外人ばかりでよかった。日本語がわかってる人があんな声を聞いたら、恐さも忘れて大爆笑になっちゃうこと間違いなしだからね……(笑)。 対するPATAは、坂の間はまるで硬直してしまったように、まったく声を発しない。姿勢をピンと伸ばして前のてすりを両手でつかみ、前をまっすぐに見つめたまま微動だにしない。そして、坂と坂の間のちょっと緩やかなところにくると、 「次は左に曲がる。それからちょっと上に登って、それからまた下に落ちる」 などと、口の中でブツブツいっているのだ。あとで聞いたら、 「隣でアケちゃんがきゃあきゃあ恐そうにしていたから、ちゃんと解説してあげてたんだ」 と彼はいっていたが、HIDE曰く 「なにかしゃべってないと、不安でしょうがなかったんじゃない?」 とか。とにかくPATAのこの行動も謎だった。 こうして、坂になると後ろから奇妙な悲鳴が聞こえてきて、緩やな場所になると隣からお経のような解説が聞こえてくるという奇妙な体験に、わたしは絶叫&大爆笑。ようやくコースターが元の位置に戻ってきたときには、へとへとに疲れ果てていたのだった。PATAもHIDEもコースターから下りてしばらくの間は、まるで余韻を楽しむかのごとく(?)無言。一人ニコニコと 「面白かった! でも、意外とたいしたことなかったね」 と余裕発言をするHEATHを横目に、ひきつった笑顔を見せていた。しかし、その直後に、 「今乗ったジェット・コースターは中くらいの規模で、まだまだすごいのがたくさんある」 という事実が発覚した。それを聞いて、 「ほんまぁ? 楽しみだな」 と、満面笑顔でますます元気なのはHEATH。 | |
「俺はジェット・コースターになんか、負けないぞ!」 と、硬直した表情で変な闘志をを燃やすHIDE。そしてPATAは | |
「やっぱりジェット・コースターなんか、大嫌いだぁ!」 と、あきらめの表情。こうして、一行は次の目標に向かって、黙々と歩き始めたのだった。 |