ロックンロール日記
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音楽業界への道

 ◆第一回  音楽業界のお仕事
 第一回目なので、まず、音楽業界の大まかな仕組みから説明しましょう。Q&Aの質問にもよくあるように、音楽業界では仕事の種類とか職種の垣根が曖昧です。たとえば、わたしの本業は物書きですが、長年、音楽業界で仕事をしてきた経験を買われて、バンドのアドバイザーやプロモーション・スタッフ、プロデューサーなどの仕事を頼まれることがあります。その延長線上で原盤制作なども手がけることになり、レコーディングの歌録りまで一人でやったこともあります。このように職種別に括ることが難しいパターンも多いとは思うのですが、いきなり初心者にそんなことをいってはみもふたもないので、いちばんオーソドックスなスタイルをわかりやすく説明することにしましょう。

 音楽業界を大きく見ると、まず、中心にアーティストがいます。そして、マネージメント業務を行うプロダクション、音源制作とその周辺の仕事をするレコード会社の二つが、アーティストにもっとも深く関わる職種です。それ以外にアーティストのコンサートを制作したり、ビジュアルを作ったり、雑誌やテレビラジオなどでアーティストを取り上げたりする職種が、たくさんあるわけです。最初に書いたとおり最近では仕事の垣根がボーダーレスになってきていますから、レコード会社がプロダクション業務を兼任したり、コンサート制作を行う会社がプロモーションをしたり、数多くのパターンがあります。インディーズの場合、原盤制作費を出してくれるインディーズ・レコード会社とのみ契約しているアーティストはプロダクション業務を自分たちが行っていることになり、制作費も自分たちで出している完全なインディーズ・バンドは、プロダクションもレコード会社の業務も、両方を自分たちで行っていることになります。

プロダクションは・・・
アーティストと契約をし、スケジュール管理をし、アーティストの活動の仕方すべてを多くのスタッフの中心になって決めていくところです。通常、プロダクションはアーティストに給料か印税、ギャラ等何かしらの形で金銭を支払い、アーティストにつくマネージャーはプロダクションが派遣します。
レコード会社は・・・
基本的にアーティストの音源制作とそのプロモーションを行うところです。制作物は音源(CD)のみにとどまらず、映像作品、プロモーション等に必要なポスターやパンフレット等、多岐に及びます。また、テレビやラジオ、雑誌等のマスコミ、コマーシャル制作をする制作会社や広告代理店など、あらゆるメディアにプロモーションを行います。

 この二つの組織がアーティストを支える左翼と右翼のような働きをしますが、その他にも音楽業界には数多くの職種の人たちが働いています。では、どんな仕事があるのか、ざっと思いつくところをあげていきましょう。

コンサート・プロモーター(イベンター) コンサートやイベントの企画制作宣伝を行う。
舞台制作 コンサートのステージ制作や、ライヴの進行を仕切る。
照明 コンサートのライティングを行う。
PA コンサートの音響を仕切る。
テクニシャン アーティストの使う楽器のケア、メンテナンスを専門に行う。ギター・テクニシャン、ドラム・テクニシャンと、楽器別に別れている。昔はローディとひとくくりに呼ばれていたが、最近は専門のプロも増えてきた。
トランポ コンサートのセットや機材を、運ぶ仕事。
警備員 コンサートの警備を行う。
レコーディング・エンジニア レコーディングのとき、音の調整をする。スタジオ所属の人と、フリーの人がいる。サブ、アシスタント、メインと、大きなプロジェクトの場合、何人かがチームを組んで行う。レコーディングだけを担当する場合、トラックダウンだけを担当する場合、両方手がける場合等ある。
マスタリング・エンジニア マスタリングのとき、音の調整をする。
作詞家 歌詞を書く人。
作曲家 曲を作る人。
アレンジャー 曲のアレンジをする人。
プロデューサー 音源制作のすべてを取り仕切る人。一つの音源のみでなく、アーティストの全体像をプロデュースするプロデューサーもいる。
雑誌編集 雑誌の企画編集をする。
ライター アーティストやライヴの取材をして、原稿を書く。
カメラマン 写真を撮影する。
デザイナー 雑誌のデザインをする。ファッション等と区別するため、エディトリアル・デザインと呼ばれる。
ヘアメイク アーティストのヘアスタイルとメイクアップを手がける。ヘアのみ、メイクのみ手がける人もいる。
スタイリスト アーティストの服を選び、ときには自分で製作する。
ファンクラブ・スタッフ ファンクラブの運営を管理し、会報を作る。
その他、関係の濃い仕事
・テレビ局 ・ラジオ局 ・新聞社 ・コマーシャル製作会社 ・広告代理店

これらの職種の人たちが力を合わせて、アーティストを育てていくのが音楽業界です。
 
大島暁美のロックンロール日記