ロックンロール日記
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音楽業界への道

 第四回 音楽業界でお仕事するための心得
 さて、今回は音楽業界でお仕事するうえでの心得について、考えてみたいと思います。音楽業界で働きたいと頑張っている人の中には、「心得なんて、そんなことはどーでもいい」と思っている人もいるかもしれません。でも、今のうちからこういうことをきちんと考えておくと、のちのち壁にぶち当たった時、一つの突破口になる可能性も大きいのでは?わたし自身、「こーいう人間は音楽業界に入ってくるなよ」と思うような人種も実際にいるのが事実なので、これから音楽業界をめざすみなさんには、そーいう類の業界人にはなって欲しくないという願いもこめて、書いていきたいと思います。


その1:単なるファンは、音楽業界で仕事をしようと思うのはやめよう。
 最初から、直球です(笑)。音楽業界で働きたいと思う人のほとんどは(男でも女でも)、好きなアーティストがいて、その人のようになりたいとか、その人の近くにいたいという気持ちが、この道をめざす大きなきっかけになっていると思います。そういう初期衝動は誰もが持つもので、決して悪いとは思いませんが、どこかで自分自身のやりたいこと見つけてその道を真剣に志すという風に、考え方が転換していくものだと思うのです。つまり、ファン心理は最初のきっかけだけで、その後はプロとして仕事をしたいという風に志が進化していくことが、プロとしての仕事をゲットし、成功していくための秘訣といえます。これは特に女の子にいえることですが、音楽業界のプロたちは原則として、「アーティストを狙っている女」をとても嫌います。グルーピーや追っかけにさえ眉をひそめているのですから、それが仕事をしようとしている人だった場合は、さらに厳しくなります。実際に、多くの業界関係者が、新人を採用しようかどうしようかと迷っている時、「ちょっとミーハーっぽい」「なんかファンの延長だよね」という理由で、採用を却下しているシーンを、わたしは何十回となく(いや、何百回かも)見ています。ファンを卒業し、大好きなアーティストを一歩引いて冷静に見る視線ができた時こそ、音楽業界をめざす第一歩になるのかもしれません。

その2:音楽業界以外でも、仕事のできるプロをめざそう

 どのような職種でも、プロには得意分野があるものです。たとえば、照明の場合、コンサートだけでなく、お芝居やダンスなどの舞台、映画やテレビなどのムービー等、仕事の現場は多岐にわたります。けれども、実際に仕事をする場合には、人それぞれ必ず得意分野があり、中には専門職のようになっていることも少なくありません。コンサートのライティングが得意でライヴの仕事が多い照明さん、監督に気に入られてその監督の映像作品にはなくてはならない存在の照明さん等、自分の得意分野を伸ばすことは仕事をしていく上でとても大切なことです。それは、ライターやカメラマン、デザイナー、スタイリスト、ヘアメイク、編集者、CMプランナー、プロダクション業務等、多くの職種で同じことがいえます。ただ、いくら音楽が好きだからといって、それ以外の仕事はいっさいしませんという姿勢だと、必ず、限界を感じる時が来ると思います。そういう時、他の分野の仕事もできる(やってみる)心の余裕があると、逆に、それが音楽の仕事の糧になることも多いはず。そのためには、常日頃から音楽以外にも自分の興味のあることにはアンテナを張って柔軟な感性を養って
おくこと、またチャンスがあったら音楽以外の仕事にもどんどんチャレンジしてみる姿勢が、きっといざという時の自分の財産になってくれるはずです。


その3:人間関係を大切にしよう

  これはもう、基本中の基本。世の中の仕事の中でも、音楽業界は特に人間関係が大切なところだと思います。それは個人プレーがしにくいというか、多くの人が協力し合って一つの作品を創り上げていくという業界の根本構造によるところが大きいです。たとえば、ソロのアーティストがいたしても、その人は決して自分一人では成功をつかむことは不可能です。縁の下の力持ちが何十人も力を合わせて、ようやくヒット曲が出たり、コンサートが成功したりするのです。ワンマンといわれる事務所の社長だって、一人でパソコンに向かって仕事しているように見えるデザイナーだって、実は全員が周りとコミュニケイトしながら仕事を進めています。だから、人間として周りの人から信頼されることが、何よりも大切。といっても、別に難しいことをする必要はありません。約束を守る、嘘をつかない、仕事をきちんとする、人として誠実である……等々、音楽業界云々いう前に、人間としての基本姿勢ですね。残念ながら、こういう根本的なことがなってない業界人が、中にはいるのも事実なんですけど……。


オマケ:率直な意見をいう友達を大切にしよう

 あと、わたしが大切だなと思うことは、「悪いことは悪いとハッキリいってくれる友人を持つこと」です。人間は誰しも自分が可愛いので、何かトラブルがあった時に、どうしても自分の視線でものごとを判断しがち。でも、90%相手が悪いと思うようなトラブルのときでも、「きみにも悪い点があったんじゃない?」と指摘してくれる人がいると、自分の行動を反省するきっかけになります。わたしはこういう友人のおかげで、ぬくぬくと自分本位に考えがちなところを、厳しく引き締めてもらえている気がします。ときどき、あまりにもきつすぎてめげたりすることもあるのですが(笑)。音楽業界という人間関係も複雑で、ものごとの捉え方にも個人差がある世界では、とくに冷静で自分の意見をしっかりいえる友人の存在は貴重です。ストレートな意見や厳しいことをいう友達を敬遠しがちな人もいると思いますが、「そういう人こそ自分のことを考えてくれる」と思って、きちんと意見を受け止めましょう。耳ざわりのいいことしかいわない、表面的なつきあいの人間が多いこのご時世、本当のことをいってくれる友人は大切ですよ!

 
大島暁美のロックンロール日記