ロックンロール日記
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音楽業界への道

 ◆第五回 アーティストがデビューするまで
 今回は、アーティストがデビューするまでの代表的な行程を追いながら、それに関わってくるたくさんのお仕事について説明していきたいと思います。当初の予定ではこの内容のものを第二回目に掲載して、音楽業界のおおまかな仕事の流れについてみなさんにお伝えしようと思っていたのですが、どーも計画性がないというか、突発的に「今月はこれを書こう!」なんて思いたったらすぐに書き始めてしまう性格ゆえ、順番が前後してしまいました。なので、ちょっと思考回路を柔らかくして、根本的な音楽業界の仕組みをもう一度考えるように、頭の回線をシフトしてくださいな。


さて、アーティストがデビューするためには、大きく分けると次のような方法があります。
(1)いちばんオーソドックスな方法で、ライヴをやって少しずつ動員と知名度を増やし、音楽関係者に認められる。
(2)デモ・テープを作って、レコード会社やプロダクションに売り込む。
(3)テレビやレコード会社、プロダクションが主催するオーディション、コンテストに参加する。
その他、もともと親がテレビ局に勤めているとか、最初からコネがある例も実際にはあるのですが、それは希少なケースなのでここでは省きます。

 アーティストがプロをめざす時、いちばん最初に考えることは、「どうやったら、音楽業界の人に認められるか」ということだと思います。たとえば、上の3つの方法の中で考えると、(2)と(3)は完璧に業界の人に認められることを目的とした行動ですよね。(1)に関しては自分の楽しみであったり、バンドの力をつけるためとか、他にもさまざまな理由はあるでしょうが、それをきっかけとして「業界の人に認められる」ことを期待して、活動に精を出しているアーティストも少なくはないと思います。 


 さて、このごく最初の時点でアーティストに関わってくる人たちですが、基本的にこの段階ではマネージャーはいないことがほとんどでしょう。なので、(1)の場合など、ライヴハウスのブッキングを担当している人が、まず最初にアーティストに関わる人となります。それから、すべての場合に関わってくる可能性が高いのが、レコード会社やプロダクションの新人開発係。第一回目でも説明したように、「新人開発係」という肩書きではなくても、音楽業界の人は誰もが新しい才能を捜しているといっても過言ではありません。オーディションやコンテストの審査員以外にも、アーティストを発掘している人はたくさんいます。中にはコンテストには落選したけれど、たまたま見に来ていた別の事務所に声をかけられたなんていうケースも多々あります。それから、意外に強力な口コミ力を持つのが、イベンター、ライター、カメラマンなど、普段からライヴをよく見ている人たち。別のライヴを見に来ていた彼らがアーティストに目をとめて、知り合いのディレクターやプロダクションの人に話をしたことがデビューのきっかけとなるということが、実はかなり多いです。


 プロダクションやレコード会社に認められて、デビューが決まると関わってくる人は格段に増えてきます。まずプロダクションのマネージャーと、レコード会社の制作ディレクターが決まり、プロジェクトの骨組みができてきます。それから、デビューに向けて曲作りやプリプロ、レコーディング等を行っていくのですが、場合によってはこの時点で、音楽プロデューサーや作詞作曲者、アレンジャー等のスタッフがつくこともあります。また、レコーディング時には、エンジニアがスタジオで一緒に音作りに加わります。

 デビュー音源がだいたい出来上がってきたところで、今度は外部に向けてのプロモーション活動が始まります。まずレコード会社からは宣伝のスタッフがプロジェクトに加わり、そのアーティストをどのように売り出していくかの作戦がスタート。マスコミ用のアーティスト写真を撮影するために、カメラマン、ヘアメイク、スタイリストが選出され、少しでも多くのマスコミに露出するために、テレビ、ラジオ、雑誌等各媒体にプロモーションを展開していきます。デビューとタイミングを同じくしてライヴやツアーを行う時は、各地でライヴをとりしきるイベンター、ステージ進行やセットを管轄する製作会社や舞台監督などとの打ち合わせも頻繁に行うようになります。
 いよいよデビューが1〜2ヵ月後に迫ってきた頃から、雑誌の取材が始まります。取材をしてから雑誌が発売されるまでにタイムラグがあるので、インタビュー自体は少し早めに行われるのです。雑誌の編集者、ライターは実際にアーティストと会って取材をするのですが、通常、デザイナーは現場には同行しません。デビュー2週間くらい前からは、ラジオやテレビなどの出演も入るようになるので、各番組のプロデューサーや実際に現場を取り仕切るディレクターとも顔を合わせます。実際の番組出演時には、有名な司会者やDJに質問をしてもらったり、この頃には毎日新しい人との顔合わせがあり、名前と顔が一致しないなんていう嬉しい悲鳴をあげることもあるでしょう。その他、デビューにあわせてレコード店の店頭イベントが組まれることも多く、その場合には各地のレコード店スタッフともコミュニケーションをとらなくてはなりません。

 こうして考えてみると、アーティストがデビューするまでには実に多くの人と出会い、その人たちの協力があってこそ、ようやく無事にデビューできるのだということがおわかりになることでしょう。「とにかく何でもいいから音楽業界で働きたい!」と思っている人も少なくないようですが(実は、わたしもそうでした)、やみくもに考えているだけでは前に進まないので、自分のいちばんやりたいことや自分にあっていると思う仕事を選んで、邁進していくように頑張りましょう。

 
大島暁美のロックンロール日記