ロックンロール日記
PROFILE ROCK'N ROLL DIARY WANNA BE FREE TALK WORKS MEMORIES URAN MUSEUM Q&A MAIL TO AKEMI
WANNA BE
 
音楽業界への道

 ◆第六回 自分のめざす職種の向き不向きについて
 前回、アーティストがデビューするまでに関わる音楽業界の数多くの職種を説明しました。読者の方からの「今まで名称は聞いたことがあったけれど、実際には何をする人かわからなかった」という声もあったので、やはり、みなさん、意外に業界の仕組みや流れについては知らないことも多いようですね。たまにわたしも音楽業界をめざす高校生の方から、「ヘア・メイクとライターと両方興味があるんですけど、どちらが自分に向いているかわからない」とか、「ヴォーカリストになりたいんだけど、文章も書いてみたいんです」などという質問を受けたりします。正直いって、こういう質問にはなんて答えていいのかわかりませんね(笑)。なので、ちょっと思考回路を柔らかくして、根本的な音楽業界の仕組みをもう一度考えるように、頭の回線をシフトしてくださいな。


たとえば、ライターと編集とか、レコード会社とプロダクションとか、仕事の内容が近い職種であればなんとなくその人のめざしているものがわかったりもするんだけど、本当にまったく別の職種の間で迷っている人が多いのには驚きます。それはまだ単に音楽業界へ憧れている段階で、実際に自分が何をやりたいのかまで決めることができない状態にいるからだと
思います。そういう人は悩んだり他人にアドバイスを求めたりする前に、まずその職種についてきちんと検証して、自分が本当にやりたいのかどうかを見極める必要があると思います。もちろん、中にはやみくもに「何でもいいから音楽業界で働きたい」と思って、がむしゃらに突進した結果、それが実現した人もいます。でも、あんまり効率のいい方法とは思えませんし、あとから後悔する人も多いので、せっかくこういうページを読んできちんと音楽業界を知ろうと思っている人なら、まず自分のめざす職種をしっかり決めるとことをオススメします。


 さて、そこで次に多いのが「その仕事が自分に向いているのかどうか」という質問です。
 わたし個人的には「好きこそ物の上手なれ」ではないけれど、基本的に自分がやりたいと思う職種に向き不向きはあまり関係ないのではないかと思っています。「この仕事をやりたい!」という確固たる情熱があれば、自分の性格や考え方を変える努力もできるだろうし、ある程度の問題はクリアできるはずだと思うからです。でも、根本的なことや肉体的なことで、どうにもならない向き不向きはあるかもしれません。
このHPのQ&Aに「耳が弱いんだけど、エンジニアになりたい」という質問が来たことがあって、このときは正直いって答えを書くのが辛かったです。エンジニアにとって耳はもっとも大切なものなので、そういう場合はまず最初に耳を治すことから始めるしかありません。先天的な音痴だったらヴォーカリストになるのは難しいだろうし、高所恐怖症だったら高いところで仕事をする機会が多い舞台や証明関係の仕事は不向きといわざるを得ないでしょう。
ただ、「文章が嫌いなんだけど、ライターになりたい」「人と話をするのが苦手なんだけど、インタビュアーになりたい」という場合は、本人の努力次第で克服することはできるはずです。最初は人見知りが激しかったレコード会社のプロモーターが、頑張って仕事を続けていくうちに別人かと思うほど社交的な性格になったというケースもよくあります。
また、わたしの知り合いのカメラマンの中には、自分には絵的なセンスがないことを非常に気にしていて、プロのカメラマンとして成功した後に、アート・スクールで構図や色の勉強などをした人もいます。つまり、ある程度のことであれば、その人の情熱次第でマイナス点は克服できるということなのではないかと思います。

(1)まず自分の性格や資質をしっかりと把握して、やりたい職種が自分に向いているかどうかを冷静に判断。
(2)もし、向いていないとしたら、それでもやりたいという情熱があるかどうかを自分で再確認。
(3)それでもやりたいと思うのなら、どういう点がウイークポイントなのかを探って、その克服方法を考え、実践。

 (1)を判断するために、簡単なチャート表を作ってみました。自分のめざす職種には何が必要なのかを見極めるために、参考にしてみてください。ただし、これは職業全体を大雑把にまとめて考えたものなので、「こういう人が多い」というベースラインとして考えるようにしてくださいね(たとえば、本来は黒子的立場にいるローディの中にも、「トラブル回避のために一瞬だけステージに上がったときの快感がたまらない」という人もいたりするので……笑)。また、「非専門的」「専門的」な区別方法はあくまで技術をベースとして考えています。「非専門的」に入っている職種でも、実際は経験や独学による専門的な知識が必要な職種も多く含まれていることを忘れないでください。

 
大島暁美のロックンロール日記