ロックンロール日記
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音楽業界への道

 ◆第七回 ライターというお仕事について
 さて、今まで6回にわたって音楽業界全般のお仕事について考えてきましたが、今回からはもう少し専門的にライターというお仕事について話していこうと思います。
このページを読んでくれている人の中にも、ライター志望の人は多いと思いますが、実際はその実情をあまりわかっていない人も多いみたいですね。そこで、今回は基本的なところから「ライターの真実」(?)を、考えていきたいと思います。

(1)ライターとは、何をする人?

 読んで字のごとく、文章を書く人のことです。ただ単にライターといってもいろいろな種類があり、主に宣伝のコピーを書く人はコピーライター、ラジオやテレビの台本を書く人は放送作家、新聞に記事を書く人は新聞記者、雑誌に記事を書く人は雑誌記者などと、それぞれに別の呼称があります。音楽ライターは雑誌記者の中に含まれると思いますが、事件を追うルポライターや、ファッションページを作るファッションライターとは、仕事の内容がまったく違うことはみなさんにも予想がつくでしょう。通常、音楽ライターの仕事は、以下のような流れになっています。

◆依頼者(雑誌記事の場合は雑誌編集者、レコード会社のパブリシティの場合はレコード会社の宣伝スタッフ等)から、原稿の依頼がある。この時、取材アーティストが告げられ、取材時間と場所、ライヴ・レポートの場合はコンサートの時間と会場等のスケジュール調整をする。
◆取材 実際にアーティストに会ってインタビューする場合は、録音機器を使うことがほとんど。ライヴ・レポートの場合は、あとで忘れないようにステージを見ながらメモをとる人が多い。
◆原稿執筆 インタビューの場合は、まずテープ起こしをしてから原稿書きに入る。最近は、ほとんどのライターがパソコンを使っている。
◆上の行程で終わることも多いが、場合によってはアーティスト・サイドのチェックによって原稿の書き直しがあったり、実際にページの中に組み込まれた状態でのチェック(色校、校了などと呼ぶ)をライター自身で行う場合もある。

(2)ライターと編集者の違い
ライターを目指している人の中には、ライターと編集者の違いがわかっていない人も多いようですが、この二者は似ているようで実はかなり違う仕事をしています。大雑把にいうと、編集者は雑誌のページ全体を俯瞰から見て仕事をしなくてはならない統括的な立場におり、一方のライターは自分自身で取材して原稿を書く個人商店のような存在といえます。その立場の違いが反映しているのか(?)、編集者は出版社の社員であることが多く、ライターはフリーのことが多いです。それでは、編集者の仕事についても、手順に従って流れを追ってみましょう。
◆まず、雑誌の企画を立ち上げる。どんな特集にするか、誰が表紙でどんなイメージの写真を撮るか、編集会議は雑誌発売の2〜3ヶ月前からスタート。
◆企画が決まったら、まずアーティストに取材依頼をして、事務所スタッフも含めて打ち合わせ。同時に、そのページの企画意図にもっとも適切なスタッフを選出し、仕事の発注をする。たとえば、表紙巻頭グラビア大特集の場合、カメラマン、ヘアメイク、スタイリスト、ライター、デザイナー等のスタッフに、仕事の依頼をしなくてはならない。また、撮影場所を決めたり、小道具が必要な場合には用意をする。
◆撮影、取材当日は、すべての行程につきそい、指揮をとる。予算や進行管理もすべて編集者の仕事で、当日は現場のリーダーという立場にある。
◆撮影、取材終了後はカメラマンから写真を、ライターから原稿を受け取り、それを事務所チェックに出したあと、デザイナーに渡す。ページがデザインされて出来上がってきたら、印刷所に入れる。
◆雑誌になる前に写真や文字の間違いがないか、入念にチェック(色校、校了)。
◆雑誌が完成してきたら、関わったスタッフ全員に見本誌を送る手続きをする。

こうして比較してみると、ライターと編集者はまったく違うということがわかりますね。


(3)ライターに必要なもの

 一昔前は「ペンと紙があればライターになれる」といわれていたようですが、今は現実問題としてそれだけでは難しいですね。MUSTではないけれど、常識的に考えて、ライターには次のようなものが必要だと思います。
◆まず、パソコン 原稿書きとメール送受信は、最低限できたほうがいい。わたしもすごい昔は原稿用紙に鉛筆で原稿を書いていたことがあったけれど、簡単に文章を入れ替えたり、書き直したりできるパソコンは、やはり非常に便利。メールは書きあがった原稿を編集者に送るために必要で、最近はデータをそのまま流し込むことが多いので、FAX原稿よりもメール原稿の方が喜ばれる。
◆録音機器 記者会見が多い新聞記者等はメモをとることが多いが、アーティストにじっくりインタビューする音楽ライターにとって、録音機器は必需品。きちんと録音しておけば、間違った原稿を書く心配も少なくなる。携帯用のテープレコーダーが主流だったが、最近はMDを使う人も多い。
◆携帯電話 急な取材のときなど、早くライターのスケジュールを確認したい編集者にとって、貴重な代物。
◆FAX 原稿の送受信にはあまり使われなくなったが、取材場所の地図を送る時などにあったほうが便利。
◆辞書 原稿を書く時に、辞書はたくさんあったほうがよい。


あと、必要なものは、体力と根性……ですかね(笑)。

 
大島暁美のロックンロール日記